第17章 わたあめより甘い
カーテンを開けると絶賛髪留めをお勧めされている途中の楓が振り向く
「カカシせ…
「おまたせ。忍服に慣れていると妙に軽くて違和感があるな。…どう?」
楓は何も言わずぼーっと立っている
「ん??楓…?」
近づいて見るとなんだか口をパクパクさせていた
「え?何?聞こえない…
耳を近づけるといつの間にか真っ赤になった楓から小さな声が聞こえる
「か…かっこよすぎて…その……び、びっくりしちゃって…」
あまりにその動揺した姿が愛おしく思わず笑ってしまう
「そうか、良かった」
「先生、それ、か、買うよね?買うよね?!私貯金してるから!」
「んー、どうしようかなぁ」
「やだ!私が買う!!」
そんなやりとりをしているオレ達を店員の2人は優しく見ていた
(木の葉だと顔が知られているから、隣の街まで来たけれど…本当によかった)
まだ買うと言って暴れている楓の頭を撫でながら
オレは店員さんにこのまま着て行くと伝えお会計を済ませた
「お買い上げありがとうございます。
こちら、よければプレゼントです。すごくお似合いでしたので…」
そういうと店員さんが楓に透き通った蜻蛉玉のかんざしを渡した
「あ、ありがとうございますっ!」
蜻蛉玉が楓の瞳に映り、キラキラとしている
(綺麗だな…)
楓は慣れた手つきでかんざしを使い髪をまとめた
チラッと見えるうなじに自分の鼓動がまた早くなるのを感じる
「そしたら、私からもお礼です。こんなに素敵な浴衣、ありがとうございます!カカシ先生とお揃い、すごく嬉しくて…」
楓はそういうとポシェットから何かを掴み、腕を前に出すとそこから花束がでてきた
「ええっ!忍の皆さんはこんなことができるんですか!?これ本物の花…!」
「いや、オレもこの子しか会った事ないですね」
そういって楓の頭を撫でる
楓のこういうところが、本当に好きだ
「私の忍術は戦闘にはあまり向いていないので、せめてこういう時だけでも役に立ててたら嬉しいです」
照れくさそうに楓は笑っていた
「それじゃ、またきます。…ほら、楓行こう」
「ありがとうございました!」
オレは楓の手をとり店を出た