第16章 憎しみの渦
金属が衝突する高い音が耳を劈く
それと共にあたたかい温もりが私を包み
それごと私の体が宙に舞う
砂利が擦れる音、
顔に銀色の髪が触れる
(えっ…これは…)
目の前の光景が信じられず目を見開く
「…………う……そ…っ…」
振り翳された刀が私に当たる寸前で飛んできた手裏剣とクナイとぶつかり、青空に刀が舞った
それと同時に私の体は抱き抱えられ、気づいた時には川横の砂利に着地していた
花菖蒲の紫色の花びらが水面を泳ぐ
「楓…、遅くなってすまない」
「か…カカシ先生…」
先生の顔を見ると一気に力が抜け涙が溢れる
「ごめ…、ごめんなさっ…」
「喋らなくていい、楓、今すぐ止血して」
「…カカシか。懐かしい顔ばかりだな」
「サスケ……。楓を本気で殺すつもりだったのか?」
「楓には最初からそう伝えていた。
しつこく俺に構い続けてたのはこいつ自身だ。」
「……もう、間に合わないんだな。」
カカシ先生の声はいつもより低く、怒りを含んだ声色だった
「オレはお前の師として、やるべき事をしなければいけない。サスケ、お前を倒すしかない。
楓も、ナルト達も、最後までお前を信じていた。オレがお前を止められたらよかったんだ。至らなくてすまなかった。
楓も…、だらしない先生でごめんな…。
もうこうするしかない…。責任持ってサスケ、お前のことはオレが処理するよ。」
ビリビリと音を立てながらカカシ先生は片手に電気を纏う
二人が走るのは同時だった