第4章 兄
カカシside
台所にはずっと会いたくて、会わなかった楓が、俺のために味噌汁を作ってくれている。
この2〜3年間、俺はただひたすらに修行を続けてきた。
部屋にいるとどうしても楓が来るんじゃないかと、変な期待をしてしまったり、
楽しい思い出を思い出してしまうから…
たまに帰ってきては寝て起きる為だけの部屋の中は
まるであの頃から全く変われていない俺を表しているようで、
生気だけが抜かれている。
なんとなくそれがわかったのか楓は先程からいつも以上に明るく振舞っている。
「ごめんね、これ、楓のお気に入りの花だったでしょ?」
茶色く萎れた花に以前のような面影はない。
「んー、あ、それなら大丈夫だよ」
手を止めて楓が近づいてくる。
楓は土に両手を当てて目を閉じた
(一体何を…)
そう思った瞬間、萎れた花がみるみるうちに元気になった
「ま…魔法…!?」
楓、今印を結んでいなかったよな…?これはどういう……
「なんかね、小さい頃から、手をかざすと元気になるんだ。ほら、カカシ先生も。」
身長が伸びた楓は手を伸ばせば俺の頭に手を乗っけられた。
「よしよしっ」
「…なっ、楓…俺は先生なんだけどな〜?」
「元気、無さそうだったから。先生、最近ちゃんと寝てる?目の下にクマできてるよ。ご飯もしっかり食べてるの?」
「大丈夫、大丈夫。ほら、味噌汁沸騰するぞ」
「あ、ほんとだ!沸騰しちゃダメダメ!」
パタパタとかけていく背中を見て、一息つく。
あの瞳に見つめられるとなんでも見透かされていそうで。
楓、お前は意外と、元気そうだな。
2〜3年で見違えるように綺麗になった楓を見て、やはり変わってないのは自分だけかと気づかされる
(こんな気持ち、気づかなきゃよかったのにな)