第16章 憎しみの渦
楓side
先程と確実に変わった目つきをしたサスケ君を見てごくりと唾を飲み込む
それと同時に後ろに気配を感じた
「…誰かいるの!?」
赤髪のメガネをした女性がかなり後ろに倒れているのに今更気づく
「…えっ?」
誰だかさっぱりわからずサスケ君と女性を交互に見る
「そいつは用無しだ。これから殺すところだった。
お前がきたせいで殺しそびれたが、問題ない。
お前を殺してから殺すさ。」
「…殺す殺す、うるさいよ!」
チャクラのある限り力を込めて印を結ぶ
ズドンという音と共に川を遮る程の根の壁を作る
(今しかない!)
「大丈夫ですか!?」
私はその女性に近づくと途切れそうな声で何かを喋っていた
「ごめんなさい、聞こえない、あなたはどうしてここに?」
口をパクパクとさせながら枯れた声から微かに聞こえる
「サスケはもう、違う。…おまえも、殺される…」
「大丈夫、あなたも必ず助ける。ありがとう、もう喋らなくて大丈夫、少しだけ待ってて…
そう言いかけた瞬間だった
「あっ…
女性が同時に声を出す
真後ろに殺気を感じると
まるでスローモーションのようにその一瞬が動く
女性を抱き、体を捻らせ
間合いを取ろうとする
私から離そうと女性を遠くに投げると共に振り向きざまに、サスケ君の顔が近くに見える
咄嗟に空いた手でクナイを構えるが虚しくも空中に舞った
足元の草も間に合わない
空中に舞った私のクナイをサスケ君が掴み思い切り私に振り翳した
ーーーー刺される…
「、うぐ…っ……」
脇腹にクナイが刺さり
ポタポタと血が垂れ足元の川の水を濁す
「ぁ…、サスケ君…」
「…チッ、急所は外れたか」
「……ははっ、容赦ないなぁ…」
必死に表情を作る
(今のはさっきまでと違う。完全な殺意だった。
このままだと本当に殺される)
しかし動こうにも刺されたところに激痛が走り動けなかった