第16章 憎しみの渦
「…楓か。随分と久しぶりだな。」
サスケ君は振り向きもせずに私の名前を呼ぶ
「サスケ君…」
「…お前、1人か。一瞬で済みそうだ。」
そういうとサスケ君は鋭い目つきと共にこちらを向く
「…今日はサスケ君と戦うつもりじゃない。戦わない。話にきたの。」
久しぶりに見た彼はすごく冷たい雰囲気を纏っている
「…前々から思っていたが、どうしてお前はそんなに平和ボケしているんだろうな。木の葉なんかにいなければお前も強くなれたはずなのに。
あの時は気づかなかったけれど、お前は木の葉の人間じゃなかっただろう。
と、いうよりもそもそもお前は…
「生まれがどこなんて、そんなの大した問題じゃない。私は今木の葉の忍びだけれど、それもまた大きな問題じゃないと今は思ってる。」
サスケ君はふん、と鼻を鳴らすと同時にクナイが私の方向へまっすぐ飛んでくる。
「…危ないよ、私は今日話にきたんだよ」
「俺がいつ、お前と話し合いをするなんて答えた?今だってお前如き一瞬で殺せるのに」
そういうサスケ君になんとか話を聞いて欲しくて彼の名前を出すことにする
「ナルト君!ナルト君はもう、貴方の先を行っている!
そしてサスケ君がくるのをずっと待ってる。」
案の定サスケ君はナルト君のことを聞くとぴくりと反応をし、先ほどより冷たい目で私を睨む
「はっ、笑わせるな。あいつは何もわかっちゃいない。
木の葉がどれだけ汚れているか、俺が何を考えているか、何も見えていない!」
「それは…どうかな?少なくとも憎しみに支配されてはいないよ」
「…話は終わりか?お前と話しているほど俺は暇じゃない」
そういうと水面を歩きながらサスケ君は私に近づいた
「終わってない。サスケ君、戻ろう。木の葉に。
イタチが亡くなったこと、聞いた。
それでもサスケ君が戻ってこなかったのにはきっと理由があるからだよね。
話そう。もう抱えずに、憎しみだけでどうか動かないで。これ以上、手を汚さないで…。」
「聞き飽きたな」