第16章 憎しみの渦
楓side
キバ君と別れてからまっすぐ道を進んでいた
(こっちの方向で合ってるはずだよね)
かなりの距離があると同時にキバ君の嗅覚の凄さに驚く
(サスケ君が動いてないと良いけれど…いざとなったら分身して、変な植物生やして…それで驚いた時の音とかで…)
「うーーん…」
(なんか無力だなぁ…)
考えてみるとこういう時はいつもサイに助けられていたことに気づく。
(野良猫探して捕まえる時も、サイが手伝ってくれたんだったなぁ…)
声をかけてくればよかったと若干の後悔もしつつも引き返せないところまで来ていた私は軽く頭を振ってサスケ君のことだけを考えるようにした。
私にはナルト君ほどの勇気もないし、サクラちゃんほどの度胸もない
サスケ君にとって私はどんな存在だったか
今もわからずにいる
会ったら何を言おうか、それさえもまとまっていなかったけれど
自分は自分のできることをしたかった。
爪痕くらいは残せると信じて一歩ずつ歩を進める
木々に囲まれたところから突然ひらけた空間に出る
湖のように広い川が見え、そして少し段差になったところが滝のように水が流れている
川の流れる音の中で服がパタパタと風と共に靡く音が聞こえる
「…ぁ。」
その後ろ姿は紛れもなくサスケ君だった。