第16章 憎しみの渦
楓side
「見つけた…っ!」
キバ君が小さくそう呟く
「楓、お前ほんとに行くのかよ…多分、俺らはまだサスケに見つかってない。だからさ…
「行くよ。キバくん、ありがとう。」
彼の話を遮りそう答えると
彼は一瞬少し悲しそうな顔をし、そーかよ。と一言呟いて止まった。
「赤丸。俺たちはとりあえずここまでだ。」
「ワンッ!」
止まった赤丸の背中からそっと降り、赤丸の頭を撫でる
「赤丸、ありがとう。
あと、キバくん、これはお礼に!」
そう言って既に開封済みのジャーキーの残りをキバ君に渡す
「お前さぁ、マジで人使い荒いのな!???」
「ふふ、冗談!里に帰ったらしっかりお礼させて?」
グシャリと渡したジャーキーの袋を握りつぶす音が響く
「んなの、いらねーよ。ジャーキーも別にいらねぇし…ただちゃんと帰ってこいよ。
お前が死んだりでもしたら俺、カカシ先生に多分殺されるぞ……サイも怖ぇな。。毒盛ってきそうだ…」
キバ君は面白おかしく冗談を言うが
表情はすごく真面目だった
(すごく心配かけちゃってるよね…)
「…嫌な役させちゃってごめん。
ちゃんと帰ってくるよ。」
「なんかもう、何いってもお前は行くのやめねぇんだろうな。そういうところマジでナルトそっくりっつーか…お前のこと好きになった奴らに少し同情するぜ…
ほら、ちょっとこっちこい」
そういってキバ君はジャーキーをしまいながらガサゴソとポーチから何かを出す
「少し目、瞑ってろ」
「…??」
何をするのかわからないまま目を瞑るとキバ君は優しく私の顔の傷に薬を塗り、頬には湿布を貼ってくれた
「お前可愛いんだからもう少し顔の怪我とか気にしろよな…ほんと、調子狂うぜ…」