第16章 憎しみの渦

サイside



楓の病室から出てから自分はナルトの元へ移動していた

さっき失恋をしたばかりなのに楓の笑顔を見たら自分は満たされた気持ちでいっぱいだった。

しかし沢山殴られた彼女の顔は見るだけで辛かった

正直僕はサスケの事なんか知らないし、どうでもいい。
楓がそれで傷つくのなら、いなくていいとさえ思う。
ただ楓にとっても、ナルト達にとっても
サスケの存在は大きいものということを知っているから、僕は僕のできることを考えるしかできなかった。

「ナルト、ちょっといいかな」

探していたナルトの姿を見つけると僕は声をかけた

「サイか、なんだってばよ。正直今はダンゾウと繋がってるお前と、冷静に話せる状態じゃねぇってばよ…」

ナルトは申し訳なさそうな顔をしながらそう呟いた。
頭でわかっていても憎い人と繋がっている僕の存在はどうしても不愉快なものになってしまうのだろう

「うん、ごめんね。その気持ちは尊重するし、否定もしないよ。ただ、ダンゾウの部下としてじゃなくて僕は今第七班の1人としてナルト、君を探してたんだ。」

ナルトは怪訝な顔をしてからなんだってばよとぼそっと呟いた

「楓を、助けてほしい。ナルトには本当は言うべきじゃないんだろうけど、それに彼女もこれを伝えることをきっと嫌がるだろうけど
楓はサスケのために雲隠れの忍びに意識を失うまで殴られたんだ。
サスケを最後まで売らなかった。きっとサスケへの憎しみを消すために最後まで殴られ続けてたんだ」