第16章 憎しみの渦
仕方ねぇな、と言いキバ君は赤丸に私を乗せてくれた
「自分で走れるよ?」
「お前、そんな沢山殴られてボロボロな格好しといてよく言うぜ…。途中まで乗って休んでろ。」
キバ君は赤丸に乗らずに横を歩き
赤丸も私のことを気遣ってか、激しく動かずなるべく揺れのないように歩き始めてくれていた
「…不審がられてないよな?」
不幸中の幸いか、木の葉は復興作業に追われていて阿吽の門の周りも人が少なく、すんなりと外に出ることができた
「うん、ただの散歩くらいにか思われてなさそう。本当にありがとう、キバ君。」
「…いいよ。お前の気持ちもわからなくないしさ。……でも、ちゃんとこのことナルトとかカカシ先生達に伝えたのか?」
気まずくなって赤丸の毛に顔を埋める
「……はぁ。俺が言うのも変なんだろうけどさ、お前はもう少し周りに大切にされてること気づいたほうがいいぜ?…今回、上手くいかなかったら死ぬことくらい、流石に天然なお前でもわかってるだろ?」
相手はサスケ君だ。
戦いになったら全くもって勝てないだろう。
「…うん、わかってる。でもちゃんと帰ってくる。助けたいんだ、サスケ君のこと。
指名手配からとかじゃなくて、彼が抱えてる闇から…」
「……なんつーか…その…俺にとってもお前は大事な存在だからよ。絶対死なずに戻ってこいよ。
じゃなきゃ俺、ここから案内しねーぞ。」
言葉は強くてもキバ君の優しさが身に沁みる
「うん。ありがとう。約束するよ。」
「んじゃ、ここからは少し走るぞ。赤丸、いけるか?」
「ワンッ!!!!」
赤丸の元気な声と共に私はサスケ君の元へ向かった