第16章 憎しみの渦
一番高級なジャーキーを買ってきた私は小さく火を焚き、香ばしい香りを漂わせながらジャーキーを炙った。
(一か八かだけど…!きて…っ!!)
目を瞑って祈っていると遠くから足音が聞こえる
「ワンッ!!!」
「赤丸!待て!それは俺のだ!!」
「クゥーーーーン!」
勢いよく走ってきたキバくんが光の速さで私の手にあったジャーキーを奪い取り、
同じく勢いよく走ってきた赤丸は私に抱きついてきた
「あわわ!赤丸!よしよし…まさかキバくんがジャーキー取るなんてねぇ…可哀想に…」
「あれ!?楓…っ!?すまん!怪我ねぇか?」
キバ君がジャーキーを片手に私に近づく
「ありがとう、大丈夫だよ。それにね、赤丸の事私が呼んだの。」
そういって残りのジャーキーの入った袋を手に取る
「ん?どういうことだ?」
「私がキバ君を見つけるには赤丸くんをジャーキーで呼ぶしかないかなー?って。赤丸じゃなくて直接キバくんが釣れちゃったのは想定外だったけどね!それ、犬用だよ?」
「は!?どうりで味が薄いんだよ!ったく、他に呼び方なかったのかよ!
つか楓、俺になんか用があったのか?
お前から頼み事なんて珍しいな〜」
すりすりと体を寄せる赤丸を撫でながら私はキバ君にお願いをした
ーーーーー
「このとーーーり!」
両手をピッタリと合わせて気持ちを込める
「いやいや!無理だって!サスケの居場所はオレと赤丸がいりゃそりゃすぐわかるけどよ、でもあいつはもう国際指名手配されたってさっき話しただろーが!」
「そこをなんとか…途中まで一緒に来てくれればいいから、お願い…」
「ナルトだけじゃなくて第七班はみんな強引なのか!?そんなこと言われても俺は火影に楯突くようなことできねぇよ…」
「…本当に、途中まで……だめ?」
以前サクラちゃんとイノちゃんが男は女の子の上目遣いに弱いのよ!!楓もガンガンカカシ先生に使っちゃいなさいよ!といじられたことを思い出しながら、試しに上目遣いをしてみる
「……あーーーー!ったく、途中までだからな!あと、俺が協力したことは誰にも言うんじゃねぇぞ!」
(う、上目遣いが通った…!?)
「えっ!いいの!?ありがとう…!ありがとう!!」
「いいって言うまでお前ずっと俺についてきてただろ。」
「…ははっ、それは確かに。」