第16章 憎しみの渦
楓side
夢のような時間はあっという間に過ぎる。
自分の横ですやすやと寝息を立てながら寝ているカカシ先生の寝顔を見るとまた恥ずかしくなりつつ、幸福感に包まれる。
(ずっとそばに居てくれたんだ…)
まだカカシ先生と自分の気持ちが同じなんて信じられず、目の前の現実がまだ夢なのではないかと思う。
(カカシ先生の素顔、本当にカッコよかったなぁ。)
いつの間にかまたつけているマスクをはずしたい衝動を抑えながら、私は先生が起きないようにそっと体を起こす
サスケ君を今ここで殺すのは、なんとかしてでも止めたい。
しかし木の葉の忍として命令が出た今、私はどうすればいいのかわからなかった。
小さくため息をつくと
ふとカカシ班に入る為の最初のテストを思い出した
(サスケ君は、私たちの仲間。仲間を見殺しになんかやっぱりできない…)
サスケ君が雷影様の弟を襲ったのには何か理由がある。
イタチが死んだ今、木の葉に戻らないのにも、暁に入ったことも、必ず理由があるはず…。
(それに…)
カカシ先生の寝顔に視線をおとし、さらさらなその髪をそっと撫でる
(カカシ先生にこれ以上、抱えてほしくない)
「……説得、してくる。」
小さくそう呟くと、黙っていなくなる罪悪感を消すために小さくメモを残した
「…ちゃんと、戻ってきます」
窓を開けて私はそっと外に出た。