第16章 憎しみの渦
「…合ってるかわからないけど、言わせるのは野暮だな」
「…えっ?」
腫れてまだ痛々しい彼女の頬になるべく優しく手を添えて、もう片方の手でオレはマスクを下げた
「…カカシ先生……、凄くかっこいい。」
「ちょっと、やめて。恥ずかしいから。親とパックン達以外に見せたことないんだからね」
「そうなの?こんなにかっこいいのに、どうして?」
彼女の瞳はいつだってオレを捉えて離さない。
(あぁ、ほんと、どうしてこんなに可愛いかな)
「もう、いいから少し目を閉じなさい」
「えぇ、もう少し見てたいよ」
そんなことを言いながら真面目に瞼を閉じる彼女を見て
オレはそっと顔を近づける
「楓…」
(好きだ…)
彼女の柔らかい唇に、そっと自分の唇を重ねる
「…ぇっ」
楓が驚き目を開けると綺麗な瞳に映る自分の顔が見え、自分の頬も熱くなるのを感じる
「…ダメ、目を閉じてって言ったでしょ」
「…でもっ、カカシせんせ…
たまらずもう一度唇を重ねる
さらさらとした髪を触りながら抱きしめるように彼女を自分に近づける
「せんせっ…ちょ、ストップ…」
「…楓のお願い、違った?」
真っ赤になった彼女はすぐさまベッドに潜り込み毛布で顔の半分を覆い小さな声で「違わない…」と呟いた
「…っ。もう、お前それ、反則だろ」
必死に顔を隠す楓の布団を剥いでオレはまたキスをする
「わー!もう!多い!ほんとに心臓もたない!」
「だーめ。楓のお願いなんだからちゃんと応えなきゃでしょ」
「んっ…ちょっ、もう十分!十分!怪我人は寝ますので!」
「…本当可愛いな。」
「わ!ダメ!ほっぺもダメ!先生がしたいだけでしょ!からかわないで、本当に恥ずかしいんだから!」
たまらなく愛おしい彼女を見つめて答える
「…バレたか」
ピシッという音と共に楓はオレのおでこに優しくデコピンをして不貞寝をした
「ごめんな?」
「…もう……好き。」
オレと真逆の方向を向いて楓は小さくそう呟くとそのまま眠りについた。