第16章 憎しみの渦
そんな矢先だった
「おい!カカシ!」
でかい緑の塊が病室のカーテンの裏から現れる
「うわっ、ちょっと!静かにしてくれよガイ。楓が今寝てるんだ」
「おぉっと、そうだったのか…すまない、レディー」
「で、なんなんだ?」
ガイは仁王立ちでオレの横に立つとものすごい力でオレの肩を掴む
「うぉっ…!」
「カカシぃ!それで、さっき言ってたのは聞き間違えじゃないのか!?カカシ、楓の事が好きなのか!?」
(ったく、まさかこいつに聞かれてるなんて…)
「あーーー…まぁ…」
恋愛話なんて誰にもしてきた事がなかったオレはたまらず額当てをいじり可能な限り顔を隠す
「なっ…!!なっ…!!!
なんて青春なんだーーーーッ!!!!」
ガイはどこから出てくるのかわからない量の涙と共にオレの肩を持ちながらこれでもかと揺らす
「や、やめてくれ…、ほんとに楓が起きちゃうから…!」
あぁ!すまん!と言いながらガイは動きを止める
「もう…どこまでも激しいんだから…」
「しかし、楓は同じ同期の中でもすごくモテていると思うぞ!オレがいうんだから間違いない!」
「えっ、そうなの…?」
「まぁ、幸い楓もカカシが大好きなのがバレバレだから、諦める奴が多い気がしてるけどな!油断したら一瞬で取られるぞ!」
「あんたに恋愛アドバイスもらうの、なんか複雑な気分だな…てか楓の好きな人ってお前も知ってたの?」
「たぶん知らなかったのはカカシだけだなッ!」
今日も眩しいほど白い歯を輝かせてガイはグッジョブポーズをする。
(楓がオレを好きっていうのはみんな知ってたのか…オレはてっきり他に好きな人ができたと思ってたのにな)
嬉しくなり顔がにやけてしまう
(マスクがあってよかった)
ちらりと楓の方を見るとまだすやすやと寝息を立てていた
あまりにも愛おしい姿にたまらずまた彼女の手に自分の手を重ねるようにして握る