第16章 憎しみの渦
「はいはい、ストップ」
カカシ先生が割り込む
「もう絶対に楓を不幸になんかさせないよ。サイ、迷惑かけたな。ちゃんと向き合えなくてすまなかった。」
「もうこれ以上楓を泣かしたら許しませんからね。嬉し涙以外ダメですよ。」
「おぉ、怖い。楓は泣き虫だから先生頑張らないとな」
そんな話をしているとまたサイは私の方を向いた
「楓、最後にこれくらい許して。」
サイはそう言って私の頭に手を近づけると前髪をかき分け額に軽くキスをした
「「…なっ!?」」
私だけでなくカカシ先生も同じ声を出して驚く
「それじゃ、お二人ともごゆっくり。」
驚いて固まっている私達を横に爽やかな笑顔でサイは病室から出ていった。
「おぉ…」
あまりに急なことでへんな声を出していると頭に手が乗っかる
「ちょっと、なに呑気にキスなんかされてるの」
「いや、あれは予想できないよ!」
「あ、よく見たら額にも傷あるね、消毒しないと。消毒消毒…」
「ふふ、ないよ。もう、カカシ先生嫉妬深すぎる」
「言ったでしょ、オレは嫉妬深いの。…しかしほんとに痛そうだな、顔こんなに殴られて…」
カカシ先生はそういうと横に座り直し優しく私の頬を触れる
「先生の手冷たくて気持ちいい」
「オレの手で良ければいつだって貸すよ。さぁ、もう少し休んでなさい。横にいるから」
「カカシ先生、ありがとう」
「ん。もう無茶禁止ね。」
私はカカシ先生の手を握りながら眠りについた