第16章 憎しみの渦
(そういえばカカシ先生とサイがこんなに自然に話しているところ、あんまり見たことがなかったなぁ。
…嬉しいなぁ。)
「楓はさっきから僕たちの気持ちなんか知らずに嬉しそうだね?」
「…へへ、バレましたか。今私幸せです。」
サイは一度カカシ先生の方を見てから私の方に向き直り、私のことをじっと見てきた
「…もう。僕は本当に心配してたのに。
でも楓、前に進めたんだね。僕はずっとその笑顔が見たかったんだ。」
真面目な声色で優しく笑う彼の顔を見て、
何が言いたいのかすぐにわかった。
「サイ…、ありがとう。
サイのおかげで今の私がいるよ。
私の笑顔を望んでくれたから、私は今ここでまた笑顔で笑えてる。」
「かいかぶり過ぎだよ」
「ううん、本当だよ。
サイ、本当にありがとう。少しだけこっちきてくれる?」
「うん、どうしたの?」
「やっとサイとしっかり向き合えた気がする。本当にありがとう。出会ったあの日からサイはずっと私に優しかったよ。
ダンゾウのことでサイは板挟みになってしまっていると思う。さっきもサイを守りたくて探しに行ったのに、こんなことになっちゃって…ごめんなさい。
でも、私は何があってもサイを信じるし、サイの一番の親友でいたいと思ってる。
本当にありがとう」
私は溢れる感情をぶつけるようにサイに抱きついた
「わ、楓…っ!…もう。人の気も知らないで、出会ったあの日から楓はなんでそんなに人の心を掴むのかなぁ…
好きだよ、楓。ちゃんと幸せにならないと、いつだって僕が迎えに行くからね」