第16章 憎しみの渦
「みんな!お疲れ様!」
そういうと同時にサクラちゃんが抱きついてくる
「楓〜ご飯行こー!」
「ラーメン!ラーメン!食いに行くってばよ」
「一楽はもう空いてるのかな?建物全部壊れちゃったよね…?」
ラーメンを食べたい気持ちは山々なものの、まだあたりは全て崩壊している里を見渡す
(……かなしいな…)
「んー、ナルトがお願いしたら作ってくれそうだけどね」
少し落ち込んでしまっていた私に気付いたのかカカシ先生は私の頭を撫でながらそう言った
「んじゃとりあえず行くってばよ〜」
ひと足先にナルト君が歩き始める
「テンゾウお兄ちゃんは来る?」
「僕も一緒に行…
「ヤマトさぁーん!こっち木材足りなくて、来てくれますかぁ〜!?」
遠くからテンゾウお兄ちゃんを呼ぶ声が聞こえる
「あちゃ〜…なんか食べられるものがあったら買って帰るね!」
「くぅぅ〜なんで僕だけ…はいはい!行きますよ!行けばいいんでしょ!!!」
大袈裟に肩を落としてテンゾウお兄ちゃんはため息をつく
「はぁ…それじゃ楓、またね。」
「は〜い。いってらっしゃい」
テンゾウお兄ちゃんの走る背中を見る
見つめていた背中が小さくなったころふと気づく
「…あ、テンゾウお兄ちゃん、頭に花咲いたままだ」
「おっと危ない、オレも咲いたままだった。ほら、楓。これはお前が付けてたほうが似合うよ」
カカシ先生はそういうと自分についていた花を私の髪につける
「…あ、ありがとう、先生」
先生の気持ちを知ってから、一つひとつの優しさが更にくすぐったくなるようになった。
でも私はこんな時間が好きだ。
(ご飯、食べ終わったら早く復興に向けてまたがんばらなきゃね。)
すでにだいぶ先を歩いているナルト君達を私たちはゆっくり追いかけた