第14章 戦場、木の葉
「なぁ、好きなんだ、好きなんだ…好き…なんだ……楓の事が…、やめてくれ、ひとりにしないでくれ…なぁ、なぁ、楓……」
「……カカシ、先生…、嬉し…」
目を細めて笑う彼女の目尻から
綺麗な涙が血だまりに落ちて飛沫をあげる
「……私も、大好きだ、よ……ありがとう…幸…せ……」
落ちた一輪のハナニラが何本にも枝分かれして楓の周りを包む
まるで棺の花のように
ガクッと楓が項垂れた
「ふん…大したドラマだな。お前も死ぬと言うのに。」
「……楓、楓……返事をしてくれ、楓」
何とか右手を動かす。
「楓…」
虚しくもオレの手は楓の流した血溜まりまでしか届かない
「楓…楓…」
少しでも近くに…
手のひらを一生懸命動かすたび土と血が混じってぬちゃりと音を立てる
「そんなにこのバカが大切か。
なら最後に、一緒に殺してやるよ」
そういうとペインは楓から鉄の棒を抜くと足で楓の体を蹴る
どさりと言う音とともに目の前に綺麗な顔が見える
「あぁ、綺麗だな…お前は最後まで……こんなに綺麗で…」
最後まで隣で…
でも、最後に届いてよかったよ
「楓、愛してるよ」
白く綺麗なその頬に手を添える
「痛みを知れ」
ペインがそう言った気がする
グサリという音ともに
瞼が下がる
「…ありがとう」