第14章 戦場、木の葉
鉄の棒が振り翳される
ふわりと甘い香りが舞う
(!!!!!)
「、そんな、…まさか……ッ!」
ザクッーーーー
鈍い音ともにぬるい血が頬につく
「ゔっ…!」
…オレは刺されていない。
恐る恐る声の元を辿ろうと目線を動かそうとすると同時に
目の前にハナニラの花が一輪ポトリと落ちる
「えへへ。先生…カカシせんせ…間に合った…よかった…」
目の前の光景に先ほどまでぴくりとも動かなかった体が震え上がる
「カカシせんせ…、約束破って、ごめ…なさ…っごぽっ…」
目の前の楓が大量の血を吐く
腹部には鉄の棒がしっかりと貫通している
「あ、あぁぁ、あぁぁぁぁ…あぁ…楓、そんな…」
(やめろ、やめてくれ、こんなこと…こんなこと…っ!!)
「必ず守ると、誓ったのに、オレは最後まで…
最後まで大切な人を…ッ!」
「カカシ…せ…、ずっと、そばにいてくれて…守ってくれ…て、ありが…と」
ボトボトと血溜まりが地面にできる
ハナニラが血に染まっていく
「…ごめんなさ…許してね…。わたし…、だって、先生の事…」
「…喋るな!助かる、必ず助かる、やめろ!やめろ!!!楓!!!」
目の前で起きていることは現実じゃないんだ
「…だいすき……ずっと、だいすき…カカシせん…だいす…き」
「お願いだ、喋るな、お願いだ…大好きなんだ、楓の事が、お前がいない世界でオレは、どうすれば…っ!」
やめてくれ、やめてくれ…!!まだ伝えてない事がたくさん…
「好きなんだ…!ずっと言えなかった!!
お前はずっと隣にいるのに、オレはお前の教師だから…!!!届かないと思っていたんだ、
ずっと隣にいてくれ…お願いだ…お願いだよ…」
虚しくオレの声が響く
「う、ゔあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ……!!!!!!」
血と涙で目の前がぼやける
何でずっと伝えなかった
オレの気持ちを伝えていたら
楓は自分を犠牲にせずに、生きてくれていたかも知れない
「約束しただろ!!!生きろって、オレのために死ぬなって!!!」
違う、責めたいんじゃない
違う、違う違う違う