第14章 戦場、木の葉
「サイは…本当に優しすぎるよ」
本当はサイと距離ができてしまうのが嫌だった
他愛のない話で盛り上がるのも、
辛い時に声をかけてくれたのも全て嬉しかった。
(でも、これからも友達でいてなんて都合が良すぎるね)
モヤモヤとした感情を振り払うようにまたもう一つお団子を口にする
「楓、楓さえ嫌じゃなかったら、これからも僕の親友でいてくれないかな。」
思わずお団子が喉に詰まりかかる
「えっえぇ!?」
「僕の気持ちを知ってるから、嫌だと思うし
難しかったら断ってくれて大丈夫。」
「い、嫌なわけない。私も本当はそうしたかった。サイの存在は私にとって本当に大切だから。でも…親友って…」
あまりにも優しすぎる言葉や気遣いの数々に目頭が熱くなる
「僕にとって楓は親友なのかと思ったんだけど…違った?」
本で読んだのにな、とぼそっと呟くサイが少し可愛く見えた
「ううん、そんなわけない。ありがとう、本当嬉しくて」
サイは最後のお団子を口にするとベンチの横のゴミ箱に串を捨てる
「楓のためなら全力で応援する。幸せな初恋を本当にありがとう。僕にとってこれからも楓は大切でかけがえのない親友だから。」
サイが手を差し出すと私はその手を取って立ち上がる
「私が根から戻った後に、サイと話した日を思い出すね」
「うん。あの日も楓は泣いてたね」
「もうそればっかり。」
他愛のない話をして私はサイと別れ自宅へ向かった