第13章 祝福の花びら
嗚咽が漏れながらも私は耐えられなかった感情を爆発させるようにカカシ先生を強く抱きしめ返した
「…うん。だから今日、楓をここに連れてきたんだよ。」
すごく近くから響くカカシ先生の声は
少し震えていて、それでもとても優しい声だった。
「…オビトさん…」
先生からそっと離れると私は墓石の前でしゃがむ
「オビトさんの親友は、本当に素敵な方です。
オビトさんの人生を歩んでいた、オビトさんの親友、カカシ先生は、私が一番尊敬している、私の大好きな先生です。
それはきっと、オビトさんが本当に素敵な人だったから。
だから先生もこんなに素敵なんだと思います。
オビトさん。
どうか、先生が幸せになることを、祝福してほしいです。」
「楓…」
「カカシ先生、心から笑ってください。
あなたの親友はあなたの幸せを喜べないような人な訳がないです。
寧ろカカシ先生がずっと罪悪感を持ち続けるのは、オビトさんが可哀想です。
オビトさんはあなたの幸せを願ってます。
会ったことはないけれど、話を聞いていて確信しました。私が保証します。」
先生はじっと私を見つめている
私は沢山流れた涙を拭いて、カカシ先生に向き合う
「さて、オビトさん、カカシ先生、いきますよ?」
「えっ…楓、何をするつもり…
言い終わるより先に私は大きな声で伝える
「ねぇ、2人とも!今日は、今日はオビトさんとカカシ先生が、心から笑える日記念日です…!」
小さく印を結び、力一杯2人の幸せを願う
(チャクラのある限り…!皆んな沢山祝って…!)
サラサラと音がすると
あたり一面花が咲きみだれ、
木々も色鮮やかに揺れる
一瞬で花畑となったその一帯に
強い風が吹くと満開の花々からたくさんの花びらが舞う
それは強い呪縛から解き放たれたカカシ先生の心を表すように
青空の向こうまで飛んでいく
「ね?先生、祝福されてるでしょう?」
花吹雪の向こうの彼は
やっぱり私が大好きな先生だ。
「あぁ…本当に、綺麗だ。」
カカシ先生は私の方を向きながらそう言うと
オビトさんの墓石に触れて、
ありがとな、とオビトさんに話しかけたのだった。