第13章 祝福の花びら
「……っ、ひっく…」
声を殺して泣いていても、どうしても声が漏れてしまった
「……ははっ、なんでお前が泣いてるの。さ、もうちょっとこっちにきてちょうだい、お姫様?」
「……えっ…?」
頭が真っ白になる
涙でぼやけた先に見えるカカシ先生は
心から微笑んだように見えた
「ほら、おいで。」
カカシ先生は優しく私の肩に手を回し、オビトさんの墓石から数歩離れたところに立っていた私を
オビトさんの墓石の前まで誘導する
「…なぁ?可愛いお姫様でしょ」
肩においていた手を私の頭の上に置くとカカシ先生はいつものようにくしゃりと撫でる
「…先生、それってどういうこと…っ?」
涙が止まらない私は混乱しつつやっとその言葉を発する
「楓は自分が誰のことも支えられていないって言ったけど、オレにとって楓は、あの桜並木の下、オレの名前を大きな声で呼んでから
とっくに大切な存在で、既になくてはならない人だったってこと。」
ふわりとカカシ先生の香りがすると優しく私は抱きしめられていて、カカシ先生はそのまま話し続けた
「楓がいなくなったら、またオレの心は真っ暗になるから。
だから、何があっても楓は生きないとダメだからね。
これは先生との約束。」
かつて大切な人を亡くして、
それをずっと背負って生きていた先生は
私の背中をずっと押し続けていた。
先生はオビトさんの人生を生きると決めていたのに
あの時も今も、私の人生を大切に思って、励ましてくれる。
「…っ、どうして…。」
こんなことされたら、もう…
(好きじゃなくなるなんて、できるわけないよ…)
「先生、なんで、ずっとそんなに抱えて…私の事はずっと応援してくれてたのに…それなのに…っ!
先生が幸せになれなかったら、私は幸せになれないよ…生きる事がどうでもいいなんて、言わないで…っ!」