第13章 祝福の花びら
「この墓は、オレの親友の墓なんだ」
つい先ほどまで持っている事に気づかなかった花をカカシ先生はそのお墓に置く
「先生の、親友……。」
カカシ先生も親友を失った事があるのだと、心がギュッとなる
「オレはさ、こんなくだらない世界でオレだけが生きていくことなんて、どうでもいいって考えてた。
オレは、親友が守りたかった人を、守れなかったんだ。
オビトとリンって奴らがいてさ、
当時オレと同じ班のメンバーだったんだ。
オビトはなんというかナルトに似たやつで、
リンのことが大好きでさ、明るくて人一倍正義感が強くて、でも不器用で。
それで何かとオレに突っかかってきてはそれをリンが宥めて…
……なんだか、ナルトとサスケ、それと楓みたいだな。」
先生は少し笑うと墓石の前にしゃがんで目を細めて、
まるでオビトさんにも話しかけているように話を続けた
「オレはね、木の葉にいる時は毎朝ここに寄ってるのよ。オビトに託された意思と、約束を守れなかった、その贖罪としてオレは自分の人生を捨てて、オビトの代わりに生きようと思ってきた」
あまりに悲しい言葉にすぐ否定したくなる自分と、
どれだけ悲しんでその結論に至ったのだろうと考えるとそんな軽い言葉でそれを否定してはいけないと思う自分がぶつかって
私は何も言えずただ先生の話を聞いていた。
「なぁ、オビト。オレは…リンを守れなかった。……約束を破ってばかりで、ごめんな。
それと、もう一つ、今日謝らなきゃいけない事があって、ここに来たんだ。
なぁオビト、今なら少しお前の気持ちわかる気がするよ。
オレにも守りたい人ができたんだ。
…お前の人生をオレは歩んでいく、お前のようにくだらないルールに縛られずに、生きていくつもりだった。
オレの人生なんて、もう捨てて良かったんだ。
でも……ごめん。
あの桜が沢山舞っていた日を覚えているか?
あの日、オレの人生に可愛い花が咲いたんだよ。
真っ暗で、中身も何もないオレの心に。
何度も消そうと思ったのに、生憎、そのお姫様はどんどんオレの人生に彩りを与えてきて、
いつの間にか消せなくなっていた。
お前の人生は絶対に忘れない。
くだらないルールを守るよりも、オビト、お前がオレに見せてくれたように
俺は必ず、その子を守るよ。
だから、1人生き残ってしまったオレが…オレの人生を歩むことを許してほしい。」