第12章 草の壁
「なんかさ〜、前まで冗談で話してたのに、楓ちゃんとサイって本当に付き合ってるの?
めちゃくちゃラブラブに見えるってばよ。
特にサイ、あいついつも楓ちゃんのことばっか見てるしよ〜」
ナルトがサイの背中を見ながら話しかけてくる
「サイは楓の事大好きだからね〜」
楓の気持ちはまだ分からないから、曖昧に答える
「カカシ先生ってば、それでいいのかよ。楓ちゃん取られるってばよ!
……あんなに楓ちゃん、先生のこと…
「ナルト!」
思わず遮る
「……楓も最近幸せそうだし、いいじゃない。楓の幸せが大事でしょ」
「…それもそっか〜」
ナルトは半分納得、半分疑問が残ったように歯切れの悪い返事をする
「……そうか。最近、楓幸せそうなんだな。…ははっ、良かった良かった。大切な第七班の皆んなが幸せなら先生も安心だよ」
カカシ先生は少し遅れて言葉を紡ぐ
「……先生は、楓の事、どう思ってるんですか?」
少しの可能性に賭けたかった
(お願い、好きだって言って…)
しばらくの間沈黙が続く
「……、楓、ね。楓。
……優しくて可愛くて、愛おしくって…」
カカシ先生はそこまでいうとまた少し言葉を詰まらせ、上を向いて空を見る。
またしばらく黙ってスゥっと息を吸うと、
「最高の生徒だよ」
と、空に向かってつぶやいた。
(……やっぱり…。)
ナルトと私はそれを聞くなり肩を落とした。
私たちはその時先生の目に涙が溜まっていた事を知らなかった。