第12章 草の壁
里に戻ると私はナルト君、サクラちゃん、サイと一緒に一楽にきていた
ナルト君の右腕には包帯が何重にも重なっていて、彼の使った技がどれだけの威力のものだったのか物語っていた。
おそらく応急処置を行ったサクラちゃんはもっとその深刻さを理解していたのだろう
里に帰るも少し無理をしながら笑っているように見えた。
「あっっつ!やっぱ左手だと食いにくいってばよ〜!!」
ナルト君はいつものように明るい口調でラーメンを少しずつ食べている
「ナルト君、手伝うよ」
「えっ!楓ちゃんが”あ〜ん”してくれんの!?」
じゃお言葉に甘えて〜と言いながらナルト君は私の方へどんぶりを移動する
「なんかそれ恥ずかしいよ!ナルト君食べづらそうだったから…、ほら、どうぞ。」
小さな器に麺を移動して、一口分を箸で掬いナルト君の口元へ運ぶ
「ちょ、ちょちょ、怖いってばよ!!!」
「えっ?あ、ごめん、一口多かった!?」
慌てて箸を戻すとナルト君は私の背後を見ているようだった
「えっ?」
振り向くとにこにこ笑っているサイが座っている
「えっ?ナルト君どうしたの?」
何に怖がっていたのか分からずナルト君のほうをみるとナルト君が叫ぶ
「てめー!サイ!すげぇ怖い顔で睨むなよ!!!」
「えっ?サイ?」
「ん?どうしたの?楓。僕はただ友情っていいなぁと思いながらナルトの事を見てただけだよ」
(恐らく、いや確実に、ナルト君のことを睨んでいたのだろう)
「ナルト、楓は少し疲れてるみたいだから僕があ〜んしてあげるよ」
そういうとサイはナルトに近づく
「いやだ!やめろー!!!
一口がでかいんだってばよ!!!」
ぎゃーぎゃー騒ぐ2人に私は思わず笑ってしまう