第12章 草の壁
「楓のそういう抜けてるところ、本当に可愛いよね。」
申し訳ない気持ちと恥ずかしさで俯くとサイは自然に私を抱きしめ、ふわっとシトラスの香りがする
(サイの香り。…落ち着くなぁ……。)
勝手に落ち着いてる自分を認識するとハッとして急いでサイから離れる
「あわ、えっと、違うの、これはその…」
サイは少し寂しそうに「ごめんごめん、つい。」と話すとくるっと背中を向けて一向に終わりそうにない雑草処理に対してモグラをまた描き始めた
(あぁ、また傷つけた…)
そう思うと自分は勝手に口が動いていた
「サイ…本当に違うの……、私、その…
サイに抱きしめられて…、落ち着くなぁって、
そう思った自分にびっくりしちゃって…その…」
驚いた顔でサイが振り向く
「あぁぁ、ちょっと待って、変な事言ってるごめんなさい…!」
顔から湯気が出そうなくらい恥ずかしい。
「うーん、僕に抱きしめられて落ち着くっていうのは喜んで良いことなのか、サクラに聞いてみようかな。」
「え!?恥ずかしいよ!そんなのサクラちゃんに聞かないで…!?」
くすくすとサイは笑うとそれは恥ずかしいんだ、と嬉しそうに笑った。
「ねぇ、楓」
「な、なに…?」
またシトラスの香りがふわっと体に纏うと、目の前が暗くなり、再びサイの両腕に包まれる
「いまは?落ち着く?それとも恥ずかしい?」
ーーー完全に弄ばれている。
「ちょっ、サイ!酷い…っ!わかってるくせに!」
ジタバタする私の顔はきっと茹でタコのように赤いだろう。
「ね、恥ずかしい?ドキドキするの?」
「する!します!!!だから離してー!!」