第12章 草の壁
あの日からサイは私を気遣ってか、ただ仲の良い友人でいてくれた
でも、サイは本当に辛くないのかな、と時々胸が痛くなる。
「楓、笑顔消えてるよ?
ほら見て、この地面。楓が雑草ばっかり増やすから、乾燥した土も根っこが増えて盛り上がってるよ。…これは雑草駆除大変そうだね。」
こうやってサイはいつも私の幸せばかり考えてくれる。
「ふふ、これね、ヨシっていう雑草なの。茎は木みたいに固いし、何よりも根っこが深くて強い雑草なんだよ〜。おまけにどこにでも生えてる!」
暗い気持ちを晴らすように雑草の蘊蓄を話す。
「つまり、本当に駆除が大変なんだよね?僕は一向に構わないけど、楓これどうするの?」
「…た、確かに。」
私は草を生やすことはできても枯らすことはできない。
「えっ、どうしよう!?」
あからさまに焦る私を見てサイは優しく笑いながら、巻物にスラスラとモグラの絵を描いてくれる。
「仕方ないね、この子達に深く掘ってもらおうか。」
サイが描いたモグラは次々と土を掘り深くまで根を張った雑草を掘り出してくれた。
「…サイ、本当にありがとう。」