第11章 君のくれた笑顔を君に
「皆、今日は本当にごめんね、ありがとう…」
すっかり泣き腫らした目を擦りながらみんなにお礼を言うと横から聞き慣れた声がした
「楓…?」
サイだった
さっきまでずっと話していた人が現れ、心臓がドクンと跳ねる
思わずサクラちゃんたちを見ると
同じようにこの偶然に驚いているようだった
「さ、サイも帰り道?」
気まずくならないように声をかけると
サイは眉間に皺を寄せ早歩きで近づき、
凄い力で私の肩を掴み寄せ、あっという間に私はサイの横にいた
「えっ、ちょ…サイ…どうし…
「サクラにイノさん、テンテンさんにヒナタさんまで揃って……君たち楓に何したの…?」
サイの声はいつもより低く、私の肩にまわしている手は力強くサイに寄せられていた
どうやら泣き腫らした顔を見た私を見てサクラちゃんたちが何かをしたと勘違いをしているようだった
「あっ、違うの!サイ、皆んな私の話を聞いてくれて…それで私が色々思い出して泣いちゃっただけで…」
急いで弁解をすると
すごく寂しそうな顔をして、
「嫌な事言われたんじゃないの?何もされてない?」
と真横にいる私を見つめて心配をしてきた
「本当に何も嫌な事されてない。本当だよ。」
そういうとサイは少しだけ腕の力を抜いて「よかった」といった
「ごめん、僕の勘違いだったみたい。…でもいくらサクラたちでも楓が悲しい事をしたら、許さないからね」
そういうとサクラちゃんたちはかなり驚いた顔をしながら
「も、勿論だよ…!しないよ!」
と答えた
「楓行こう。目、冷やさないと明日に響く。」
サイはそういうと私の肩に手を回したまま私の家の方向に歩き始めた
咄嗟に後ろを向いてサクラちゃんたちにお礼を伝えて私は家に向かった