第11章 君のくれた笑顔を君に
修行のために広場に行くと
サイとサクラちゃんが先に集まっていた。
サイを見るとまたさっきのドキドキが戻ってきてしまう
(あぁぁ、顔赤くなってないかな…)
「サ…サイ、サクラちゃん、おはよう!」
サイは私を見ると一瞬恥ずかしそうにしたものの、
いつも通り優しく、おはよう、楓。昨晩はよく眠れた?と声をかけてくれた。
本当はサイのお家に泊まったのだけど、気を利かせてくれたのだと思う。
(デリカシーがないってサクラちゃんにボロボロに言われてるけど、サイって本当はそういうところすごく優しいし気を遣ってくれるんだよね…)
そんなことを考えていると
「楓、おはよ!」
サクラちゃんもいつも通り明るく挨拶をしてくれた。
「てかサイ!!あんた私にはおはようございます、今日もブスですねとか、朝から喧嘩ふっかけてきたくせに
なんで楓にはそんなに優しいのよ!」
「えっ!?サイ、そんなこと言ったの!?」
(なんで自然に喧嘩を売るんだか…彼のちょっとした楽しみなのかな?)
「思わず本音が漏れちゃって…」
「はぁぁ!?!もう一回殴られたいわけー!?」
サイとサクラちゃんのやりとりはなんだか楽しくて好きだ。
(でもサクラちゃんはすごく可愛いのにな)
そんな事を考えながら2人のやり取りを見ていると少し緊張が解けて、
居心地の良い雰囲気に幸せを感じる
(サイとの距離は少し迷ってしまうけど
でも今はみんなと自然に、修行を頑張らないとね…!)
そうして今日もまた1日始まった。