第11章 君のくれた笑顔を君に
それじゃ、また後でねと言ってサイと別れてから1人になって、シャワーを浴びながら冷静に昨日のことを振り返る。
サクラちゃんの言っていた
『サイよ!サイ!
実際の所はどうなの?
私はカカシ先生よりはアリだと思うし、応援しちゃうんだけど…!』
という言葉がずっと頭から離れずにいた
正直なところ、私はカカシ先生の事を諦めなきゃいけない。
でも中途半端な気持ちでサイに応えて彼を傷つけるのはすごく嫌だった。
カカシ先生を忘れるために彼を利用するなんてもってのほかだ。
(サイのことは好きだけど、そういう風に考えた事がなかったからなぁ…)
今の自分が彼の好意を受け取るのは
彼にとってすごく辛いことになるのに
今朝から流されてちゃんと断れない自分に嫌気が差す
生まれてこのかたカカシ先生以外を好きになったことがない私は
女の子がどうやって失恋から立ち直っているのかとか、
新しい恋はどうやって見つかるのかとか、
全くわからないでいる。
(向き合うより先にサイに告白されるなんて思ってなかったし…本当にどうすればいいんだろう…)
サイとのことを思い出すと今でもすごく心臓がドキドキする。
(でも、これは恋じゃない……よね?)
「あぁぁぁーもうー!」
今は恋より修行!と思い込ませるようにわざと大きく頭を振って
シャワーを終えて身支度をした。