第10章 交差する想い
コトン。
「サイ…あの……、ご…
謝ろうとするとサイが遮って話した
「謝らないでほしい。
別に僕は諦めたわけでもないし、
僕が勝手に信じたくなって、好きになって、
それで守りたいって思うようになっただけなんだよ。
それは誰のせいでもないし、自分の意思だから。」
「サイにとって、私は…どんな存在なの?」
「好きな人、って言うとシンプルすぎてわかりづらいよね。うーん…。
僕は感情を…心を失ってた時に、楓に助けられた…というか…気づかされたんだ。
今は色んなものが色づいて見える。
誰かのために何かをしたいって、任務の事以外で思うのははじめてなんだ。
楓が沢山泣いていて、僕が笑顔にしたい、こんな顔させたくないって、思ったんだ。
言葉がまとまらないけど…楓の笑顔を守りたいのかも。」
「そしたら…私は…サイにとって守りたい人、なのかな?」
(私のことを守ってくれて、そして私が守りたい人のそばにいなさいって、そういう事だったのかなぁ…)
「私も…サイが泣いちゃうのは嫌だなぁ…」
そう呟くと、サイは僕は泣いてないでしょと言いながら笑った。