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届かぬ想いと隣の君【NARUTO】

第10章 交差する想い




『サイよ!サイ!
実際の所はどうなの?
私はカカシ先生よりはアリだと思うし、応援しちゃうんだけど…!』

変なタイミングでさっきサクラちゃんに言われたことを思い出す

(あーもう!なんなのー!?)

頭をぶんぶんふって、言葉を絞り出す

「あ、あの、サイ…わたし…あの…」

何かを言おうと口を開くと
ほっぺたにサイの手が伸びて、そのまま髪を撫でながら首の後ろまで手をまわされる

グイッと引き寄せられるとサイの顔がすぐそこまでの距離になる

「えっ…まっ…」

キスされる…
そう思って思わず目を瞑ってしまう

コツン、とおでこがくっつくとサイがふっと笑い、その息で横髪が揺れた

「何もしないって約束したのに、キスなんか、できないからね」

「なっ…」

わたしが驚いて何かを言い返すよりも先に、サイはそのまま話し続けた

「でも、凄く、したい。本当は今すぐ…
僕は楓の事が好きなんだ。

カカシ先生が好きな事くらい、僕でもわかるけどね。

…でも、そんなに楓を泣かせるくらいなら、
僕の方が楓のことを幸せにできるんじゃないかと、思うよ。」

「サ…サイ…」

それって…

頭の中で認識してても、ちゃんと言葉を理解できてなくて、あまりにも近い距離で告白をされて、わたしは名前を呼ぶので精一杯だった

「うん?どうしたの?楓」

私がサイの名前を呼ぶのに対して
優しい声で自分の名前がまた呼ばれる。

果たして今なっている心臓の音が自分のものなのかわからないくらいの距離に、
サイがいる。
意識し始めると顔がすごく熱くなるのを感じて
パクパクと、何も話す事ができない口を開け閉めする
そんな私を見てサイがまた言葉を発する

「ねぇ…ごめん。やっぱり約束破ってしまうかも…」

首に回した手はそのまま、少し離れたかと思うとサイの顔も赤くなっていて切なそうな目でこちらを見た
首に回していない方の手が私の腰に添えるとまた私をグッと近づける

サイの肌に触れると同時にフワッとサイが使っているものだと思われる石鹸の香りに包まれる

「…ぁっ」

気づけば私はサイとキスをしていた




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