第10章 交差する想い
声がすると同時に足元の猫が追いかけてきた人を見て咄嗟に逃げた
(わ!?)
「お願い!あの子を捕まえて〜!!!」
少し離れたところで走ってきている女性がそう叫ぶと同時に私は印を組んだ
「草遁!黙殺縛りの術!」
蔓が猫を目掛けてのびたがギリギリ間に合わず猫が逃げてしまう
「あの!お姉さん!私捕まえてきます!!!」
お姉さんにそう伝えると猫を追いかけた
(ふふっ、なんだか昔に戻ったみたいだな。)
懐かしい気持ちで土を蹴った。
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しばらく追いかけていたが、
意外とすばしっこく、私は猫を見失ってしまっていた。
(うーん、暗くなる前に見つけないと)
すでに日は沈んでいて建物の裏側から微かに太陽の光が漏れているだけだった
「楓、なにしてるの?」
振り返るとサイが軽く手を振っていた
「サイ!実はかくかくしかじかで……」
事情を話すと素早くサイが巻物に小さなネズミを描いて、放った
「ごめんね…私が勝手にやるって言ったのに意外と手こずっちゃって…」
両手を合わせてサイに謝ると
いいよ、とサイが笑った
「あっ」
「え?」
サイが声を出して見ている方を見るとまさにネズミを追いかける猫がいた
「え!早速!?あっ!草遁!黙殺縛りの術!」
急いで印を組むと今度はうまく猫を捕まえることができた
「にゃ〜…」
「こんなに早く見つかるなんて…サイ、本当にありがとう。」
(思ったより近くにいたんだなぁ)
私達は猫を無事飼い主に届けてすっかり暗くなった道を歩いた。