第10章 交差する想い
サクラちゃんがいなくなってからさっきの賑やかさが嘘のように静かになった。
周りのお客さんはまたさっきの私たちのように楽しく話す人もいれば静かに何か真面目に話している人も、みんなが色々な会話をしながらお団子を食べていた。
(ふぅ…ちょっと、サクラちゃん、残しすぎだよ…)
サクラちゃんに話を聞いてもらえてすごく良かった、と思う自分がいる反面、
もう言葉にしてしまったら、諦めるしかないという現実が自分に突き刺さる。
「…っ。」
(無理な事がわかってるのに…
もう本当にどうしてこんな…
どうしてこんなに…好きなんだろう?)
どうしようもない気持ちを、たくさんのお団子と一緒に、無理やり飲み込み、店を出た。
「ごちそうさまでした〜」
お団子屋さんの引き戸を閉めて空を見上げる
夕方、夕陽が建物の間から出たり隠れたり、
少し冷たい風が吹いていた。
にゃ〜。
足元から小さい声が聞こえる
「猫ちゃん、野良猫さんかな?」
しゃがもうとすると遠くから声が聞こえる
「お願い!捕まえてええええ〜!!!」