第10章 交差する想い
サクラちゃんが大きな声で叫ぶので急いで欲しい本だけ借りて私たちは外に出た。
本を借りている間もサクラちゃんはそれどころじゃなかったらしく外に出た瞬間、両肩を掴まれグワングワンと視界が揺れた
「ちょっとどーいう事!?楓熱あるんじゃないの!?」
「わ〜揺らさないで…」
「あっごめ!」
ピタッと止まるとまだグラグラする頭を抑えながらしっかり話すことに決めた
茶屋に入りお団子を頼み、あたたかいお茶で喉を潤わせると、私は決心して話し始めた。
「サクラちゃんは守ってくれて、それで守りたい人っている?」
「へ?なにそれ」
「カカシ先生に言われたんだ、私が根に入ってある失敗をしてしまった時、
私は人のことを信じやすいから、だから
私のことを守ってくれて、そして私が守りたい人のそばにいなさいって。
それで、カカシ先生、優しいから…その…
オレのそばにいろ…って」
「えっうそっ!なにそれ!告白!?
あ!ごめん、それで!?」
サクラちゃんは目をキラキラさせながら、聞いてくる
「違うよ、…違うの。
私はカカシ先生の事なんか守れなくて…寧ろ、傷つけようとしちゃって、今日の雷遁だってそうだったの。
雷は土に強くて、土は水に強くて、私、カカシ先生に守られるばかりで…それで…
それでね、
カカシ先生には、本当に守られて、守りたい人がいるみたい。
一途なんだっ…って。」
いざ自分の言葉にすると、やっと自分の恋が終わったことを実感し、少しだけ涙が浮かびそうになった。
サクラちゃんは明らかに先ほどと違った目になり、眉を下げて私の肩を摩ってくれた。
「そんな…そうだったのね…
私はてっきりカカシ先生は楓の事が好きなんだと本気で思ってたわ…」
「いやいや!いいよ!
私達は生徒だから、守らなきゃいけないだけで…特別じゃないの、わかってたはずなのに、どこかで期待してたの。
はっきりしてよかったんだ。凄くスッキリしてて。」
「そっか、それならよかった。
まぁさ、楓は可愛いしいい子だし!
あんな遅刻ばかりの先生よりもっといい人いるって!…っといけない!うそ!もうこんな時間…!?
ごめん!私この後綱手様に呼ばれてて…
いつでも話聞くから呼んでよね!
それじゃね!!」
サクラちゃんは私のお皿にたくさんのお団子を残して帰っていった