第10章 交差する想い
図書館に入ると紙の香りがふわっと香り、静かに紙をめくる音、筆で字を書く音だけが聞こえてくる。
「探すとしたらここら辺かしら?うーん、これとかどう?
あ、こっちにもいろいろあるわね」
「わっ、私も…!」
自分も本選びに取りかかった。
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何冊か本を選ぶと、大きな机に本を並べサクラちゃんの隣に座った。
「ワクワクする〜!
楓の技、ほんと可愛いし〜!」
私以上に楽しそうに本を読むサクラちゃんを見るとなんだかそれだけで今日ここにきてよかった気持ちになる
ぺらぺらと本をめくると、雷遁についてかかれたページがあった。
(あ、雷遁…)
カカシ先生の遁術がかかれていて、ふと目を留めてしまう。
(雷遁は確か、土遁に強いんだよね。
土遁は水遁に強くて…それで…私が使えるのは土と水で…)
「なーに見てんの?」
サクラちゃんが寄ってくる
「わっ!あっ、これは…」
咄嗟に隠すと半ば無理やり私の手をどかしサクラちゃんはぐいっと身体を寄せて中を覗き込んだ
「なになに、雷遁…
…もー。いつも楓はカカシ先生なんだから〜!」
見た瞬間半分呆れながら笑うサクラちゃん。
全部見透かされていてすごく恥ずかしくなる。
「違うの、ほんとに違うの〜…」
きっと真っ赤になっているであろう頬を抑えながら否定をした。
(こんなんじゃ、バレバレだし…未練もタラタラに見えるよね)
無意識にカカシ先生を考えてしまうのはそれだけその恋が私にとって特別だったからで、
なかなか諦められることではなかった。
「それでさ、どうなの?カカシ先生とのことは!楓は結局どうするの?」
サクラちゃんはさらに私に体を寄せて小声で話してくる
「どうするって…」
なんで答えようかと悩んでいると予想もしなかったことをサクラちゃんが聞いてきた。
「サイよ!サイ!
実際の所はどうなの?
私はカカシ先生よりはアリだと思うし、応援しちゃうんだけど…!」
「ちっちがうよ、サイとはほんとに何もないよ、友達だから…!それに私、カカシ先生の事、諦めたんだ。だから今は何もないの。
修行頑張りたいなって。」
そういうとサクラちゃんはポカーンと私をみて、ワンテンポ遅れたタイミングで
「えっ…ええええええぇぇぇ〜!?!?」
と叫ぶのだった。