第3章 変化
コトン。
写真立てにうつる5人の写真を眺める。
こんなに素敵なメンバーと共に私がいる。
当たり前に私がそこにある。
あれからしばらく幸せな日常が続いた。
何度か任務で大変なこともあったけれど、いつも力を合わせて乗り越えて来た。
カカシ先生の素顔を見ようとサクラちゃんたちとあれこれやった日が懐かしい。
(素顔、見てみたかったなぁ。)
ふふっと笑みがこぼれる。
私は第七班のみんなと過ごす時間が本当にだいすきだ。
本当にだいすきだ。
だいすきなんだ…
だいすき…
このまま、どうかこのまま…
5人でずーっと…
「…っふ…」
歯をくいしばって我慢していたのに…
一粒涙がこぼれると、次々と溢れ出した。
「……うぅっ……」
サスケくん…サスケくん…
笑わなきゃ…私が、笑わないと…
里抜けの直前に直接会った、サクラちゃん
拳を交えても止められなかった、ナルトくん
2人の方がもっと、もっと辛いから…
だから、笑わなきゃなのに……
サスケ君が…里抜けしてしまった。
その現実が受け止めきれなくて、
何度頭の中で整理しても信じられなくて、
何よりも大切メンバーの1人であるサスケ君を何もわかっていなかった自分が不甲斐なかった。
私がもっと彼のことを理解できていたら
もっと早く彼の変化に気づいていたら
悔しい…
悲しい…
寂しい…
違う、もっとなにかこう…
言葉で表せないほど私の心は混乱していた。
もう、失いたくない、何ももう失いたくないんだ…。
部屋には思い出が多すぎて
辛い現実から逃げるように
気づけば私は何も持たずに外へ駆けていた。