第3章 彩斗様 鳴上嵐
理解不能。
私は世界で一番、嵐のああいうところが理解できない。
___アタシのことが嫌いでもいいから
何で。
___隣にいさせて
何でそんなことが私に言えるんだ。
「おい、あんず」
授業中にボーッとして考え事をしていると佐賀美先生につかまった。罰として全員の授業課題を集めて職員室まで提出することを義務づけられ、泣く泣く従った。
「断ればいいじゃん、そんなの……ふわ、あ…」
「椚先生の授業で寝るという大それた偉業を成し遂げた君にだけは言われたくないんだけど。」
「ちょっと、寝起きの俺に難しい言葉聞かせないでよ……。」
ほぼ私と同じ状況にあるといってもいい凛月くんと並んで職員室に向かう。
あぁ、バカだな私たち。
「ね~、このあとの授業ダルいし、サボってもいいかなあ……?」
「職員室まで行く道に隕石でも落とさないと無理だと思う。」
「………」
「あの、そこで考え込んだって無理だからね?」
何て言いながら職員室までたどり着き、今後気を付けるよう叱られその場を去る。
「……まあでも…」
「何?」
「隕石って落ちてくれないから俺たち平和なんだよねぇ。」
凛月くんが真面目に言う。
「………あんずにも落ちるといいね。」
「どういうこと?」
「恋の隕石」
つんと私の額をつく。何を言ってるのかと聞いても彼ははぐらかすだけで何も言ってこない。
結局、真意はわからずじまいだ。