第3章 彩斗様 鳴上嵐
「もう!ひどいじゃないの!いっつもアタシに冷たいんだから!」
学年が違う瀬名先輩と別れたあと、嵐が怒りながら私のあとをついてくる。私は早足でそれをふりきろうとしたが、彼はちょっと大股に歩くだけで私と並ぶ。
「……いっつもこうなんだから慣れてよ」
「たまには仲良くしましょう?ほら、笑って笑って~!」
「……………」
私たちはいつもこう。二人でいると隣で仏頂面の私に嵐が何かしらしてくる。端から見ると仲良しにとらえられるようで、全くもって心外だ。
幼なじみであることは認めている。でも、私は嵐の隣にいたくない。
だって嵐は可愛いから。
隣にいると惨めになる。
「嵐ってさ、何でそんなに私にかまってくるわけ?こんな態度されたら嫌でしょ。」
「ううん、嫌じゃないの。」
嵐が笑う。
「嫌じゃないから、隣にいるの。」