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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第8章 【家康・後編】※R18


「勘違いするな。あの娘は信長様の家臣だ。俺がどうこう指示できる相手じゃない」
「そうでしたな…いやこのところ毎日手合わせなどして、ここ駿府の者たちにもかなり馴染んでおったので、まるで家中の者のように思っておりました」
残念そうに頭を掻く本多。
「酒井、ここの守りに五千、秋津に二千…いや三千、兵を出せるか」
「はい、しかし高城国も控えている秋津に三千は手薄すぎはしませんか?」
「あそこの城は天然の要害になってる。あと秋津の兵が千、伊達の兵が五百。それだけいれば安土からの援軍が来るまでは持ちこたえられると思う」
「なるほど。さすが殿、視察をしてこられただけのことはございますな」
「戦が終わればそのまましばらく兵を駐留させる。残れる者を中心に隊を組んでくれ。秋津軍の総大将は────」
「是非それがしに!」
本多が勢いよく手を挙げた。
「いや、お前はここの守備の要として残ってくれ。俺がいく」
「殿自らが?」
「秋津ではまだやり残したことがある」
「はあ、かしこまりました」
「ではそれでいいな。皆さっそく準備にかかれ」
「ははっ」
いうなれば「留守番」を申しつけられ、気の抜けたような様子の本多だったが、大きく息を吸うと、改めて家康に向き直り、ガバっと平伏して、頭を床につけた。
「殿、この機に是非ともお願いいたしたき議がございます」
「どうした忠勝」
「藤生殿は、お独り身でいらっしゃいましたな」
「何…急に…そうだと思うけど…」
「藤生殿を、それがしの側室にお迎えいたしたく!お取次ぎいただけませんでしょうか!」
「はあ!?」
噴き出す直政。
家康にいたっては開いた口がふさがらなかった。
「大変遅くなりました」
丁度そのとき、スッと障子を開けて、榊原が入ってきた。
「して、これは何の騒ぎにございましょうか?」
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