• テキストサイズ

【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第18章 【光秀編】#1 これでは、まるで


興味深い話に相槌をうちながら、ちらりと光秀様を見遣ると、光秀様は談義に加わりながらも、ご飯の上におかずや香の物を全部のせ、そこに汁を一気にぶちまけて、汁かけ飯を作っていた。

「!?」
「もう~光秀ったら。今日の朝餉はせっかく政宗が作ってくれたのに」
「腹に入ればみな同じだろう」
「ほっとけよ舞、いつものことだ。もう慣れた」

苦笑いする政宗様を後目に、光秀様は、優雅な(?)仕草で汁かけ飯を一気にかきこむと、サッと立ち上がった。

「さて竜昌、先に大手門で待っているぞ」
「あ、は、はい」

後に残された私も、お行儀が悪いと知りながらも、置いて行かれまいと焦ってご飯をかきこんだ。
そんな私を見て、秀吉様が溜息をついた。

「慌てることはない。あんなやつ待たせておけばいいんだ」

秀吉様は、私や舞様に対しては兄のように優しいのに、なぜかいつも光秀様に冷たい。

「ングッ、政宗様ごちそうさまでした。それではいってまいります」
「そりゃよかった。光秀には気を付けろよ」
「はいっ!」

私は最後の一口をなんとか飲み込みながら礼をして、慌てて光秀様を追いかけた。
光秀には気を付けろ?種子島に気をつけろという意味だろうか。



「光秀のやつ、まるで「新しいおもちゃを見つけた」ってな顔してたな」



大手門につくと、光秀様は二頭の馬とともに私を待っていた。一頭はまるで光秀様のように輝くような毛並みの白馬。もう一頭は葦毛の馬。
光秀様は肩から下げた二本の種子島のうち一本私に手渡すと、ひらりと白馬に飛び乗った。

「乗れ。少し駆けるぞ」
「はい」

私も種子島を肩にかつぎ、もう一頭の馬に乗って光秀様の馬を追った。
しばらく走って、光秀様はチラリと後ろを振り返り、私がちゃんとついてきているか確認すると、満足そうにニヤリと笑った。
そして前を向き、馬の横腹を軽く蹴ると、少し速度を上げた。

光秀様の銀髪と白馬の尾が、さらさらと風になびく。私はその美しい様子に見惚れながら、頬が緩みそうになるのを必死に抑えていた。
さっき、三成様の申し出を光秀様が断ったと言っていたのを聞き、もしかしたら私は特別なのかもしれない、と私は浮かれていたのだ。




後になって思えば、思い上がりも甚だしいのだけど。



/ 372ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp