第18章 【光秀編】#1 これでは、まるで
「しかし種子島は間違いなく、今後の戦を、世を変えていくことになるでしょう。私は御館様にお仕えする身として、それを知りたいのです!」
我ながら珍妙な演説だとは思ったが、光秀様は黙って床を見つめながら。それを聞いてくださっている様子だった。
やがてその琥珀色の目で、まるで私を値踏みをするようにつま先から頭のてっぺんまで眺めると、またいつものようにニヤリと笑った。
「いいだろう」
思わず、口から安堵の吐息が漏れる。
「丁度いい。明日の朝、教えてやろう」
「あ、は、」
「朝餉の後、迎えに来る」
「はい?」
「…ではな」
光秀様はそう言い残すと、さっき舞様にしたのと同じように、私の頭にぽんと手を置き、そして私の横をすり抜けるようにして廊下の奥へと去っていった。
あまりの急展開に、ろくな返事もできないまま光秀様の後姿を見送ることしかできず、私は廊下に立ち尽くした。
火照った頬から、いつまでも熱が引かなかった。
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