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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第18章 【光秀編】#1 これでは、まるで


子供のように頭を撫でられたことに憤慨しているのか、舞さまは可愛らしく頬を膨らませている。
その様子を見つめる光秀様の瞳は、あくまで優しかった。

再び、胸がちくりと疼いた。

「舞、これから信長様のところにいくんだろう?」
「そうだった!あぶなく光秀の策にひっかかるところだった!」

秀吉様の言葉に我にかえった舞様は「りんちゃん、またあとでねー!」と声を残し、身を翻して天主の方へ駆けていった。「コラ!廊下は走るなと言っただろう」お小言と一緒に秀吉さんがその後を追いかけていく。

思わぬところで、私と光秀様は二人きりになった。

「あ、あの明智、いえ、み、光秀様」

私は思い切って自分から口を開いた。

「遅くなりましたが、兜を直していただいてありがとうございました。あれ、父の形見だったんです」
「そうか。打ち抜いてしまって悪かったな」
「いえ…おかげで命拾いをしたのは私です」

兜のお礼を言うという目的は果たしたが、もう少し光秀様と言葉を交わしたいと思った私は、必死に言葉を繋いだ。

「あの、ひとつだけお聞きしてもよろしいでしょうか」
「ん?」
「あの時、光秀様はあの間合いから前立てを狙ったのでしょうか?」
「いや…」

そう言って小さく首を振ると、光秀様はその細い指先で、トンと私の眉間を軽くついた。

「本当はここを狙ったんだ」
「!?」

嘘か真実か測りかねる言葉に私が戸惑っていると、光秀さまはニヤリと笑った。

「だとしたら、どうする?」

その美しくも怪しげな笑みに、心臓がドクンと跳ねた。
確かにあの時、弾は当たらなかった。しかしたった今、光秀様の言葉と仕草は、私の心の臓を確実に撃ち抜いた。
痛いほど暴れる心臓に、呼吸が浅くなる。これでは、まるで。

何か、何か言わなければ────




「あ、あ、あの、光秀様」
「ん」
「私に、種子島の撃ち方を教えていただけませんか?」
「は?」

咄嗟に出た言葉に、光秀様の琥珀色の目が大きく見開かれた。

「恥ずかしながら秋津は弱小国。兵たちのために、戦に十分な種子島も火薬も用意してやることができませんでした。なので私も数えるほどしか触れたことがありません」

自分でも何を言っているのかわからなくなるほど狼狽えながら、私は必死で光秀様に訴えた。

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