第14章 【信長編】※閲覧注意※ R18
信長はそんな竜昌を横目で見ながら、まるで見せつけるように遊女の胸元に手を差し入れた。あの時、竜昌の胸乳を噛み切ろうとし信長とはまるで思えない、優しくいたわるような愛撫。遊女は身体をくねらせて、甘い溜息を吐いた。
「ン…ふふっ」
二人が人目もはばからずに まぐわう姿を見ながら、竜昌はあの時の、身体を引き裂かれるような痛みと、下半身の中を溶かされるような快感を思い出していた。竜昌の呼吸は徐々に浅くなり、身体が熱くなってくる。
遊女はチラリと竜昌に視線を流すと、クスクスと笑いながら、その白い手をスッと信長の着物の裾から差し入れ、下腹部をまさぐった。
信長はそれに応えるように、片手で遊女の胸を弄びながら、もう片方の手でその顎を掬いあげ、唇を吸った。
ぴちゃぴちゃと二人の舌が絡み合う音が部屋に響く。
「あっ…三郎様…っ」
遊女は小さな声で、信長の愛称を呼んだ。
自らの膝を握りしめていた竜昌の爪が、皮膚に食い込む。その痛みで、竜昌は一瞬 我に返った。
「ッ…!失礼します」
竜昌は畳を蹴って、信長の部屋を飛び出した。
『あらあら、うふふ…』
甘ったるい部屋の匂いと、遊女のかすかな笑い声が、いつまでも竜昌の脳裏を離れなかった。
─── ◇ ─── ◇ ───
『私は…いったい信長様に何を期待していたんだろう…』
古木城での失態の挽回をすれば、信長に再び触れてもらえるのではないか────竜昌は、いつのまにかそんな想像をしていた自分に、愕然とした。
安土城の廊下を駆け、自室に飛び込むように戻った竜昌は、部屋の真ん中にへたりこんだ。
心臓が痛いほど脈打っているのは、ここまで走ってきたせいだけではなかった。
身体が燃えるように熱い。
目を閉じて振り払おうとしても、先ほどの二人の淫らな姿が瞼の裏から消えなかった。
遊女の肩を抱く信長の逞しい腕
信長の愛撫にぴくぴくと震える遊女の足指
二人の唾液がからみつく水音
気が付くと、竜昌は自らの懐に手を差し入れ、自らを慰めていた。