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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第14章 【信長編】※閲覧注意※ R18


「あっ…」
上等な美酒のもたらす酔いと、まるで二人の身体の境界線が曖昧になるような感覚に、竜昌は眩暈を覚えた。いつのまにか、その蜜口から再び溢れだした蜜が、糸をひいて床に垂れ、月光を反射して銀色に光っていた。


光秀の放った刺客が、虎太郎を捕らえてその首を刎ねたという知らせが届いたのは、その翌朝のことだった。


─── ◇ ─── ◇ ───


三月の後、竜昌は再び戦場にいた。
顕如傘下の僧兵たちが、山寺に立てこもったのを、織田軍は完全に包囲していた。しかしここ数刻は膠着状態が続き、すでに日が暮れようとしていた。
「何をしている。さっさと火を放て」
ゾッとするような竜昌の低い声に、近くにいた兵たちが振り返った。
その中には、古木城の攻城戦に参加していた(そして自害の場に居合わせて嘔吐をしていた)あの若者もいた。
「し、しかし藤生様、あそこには仏様がいらっしゃいます!仏様に弓を引いては…」
しかし竜昌は一笑に付した。
「ふん、神も仏もあるものか。仏がいるならなぜ彼奴は衆生を救わん?なぜ仏に仕えるはずの僧が、あのように武具を持って人を殺める?」
頬を歪めるようにして笑う竜昌の顔を見て、若者は背筋が凍った。
いまや竜昌の眼には、残虐の火が爛々と燃えていた。古木城で幼い子供の命を救った竜昌とは、まるで別人のようだった。
「火矢を持て!私がやる!!」
竜昌はそう叫び、用意された火矢を奪い取るようにして弓につがえると、ひょうと放った。
火矢は仏像が坐する本堂の壁板に突き刺さり、火の粉がパッと散った。
「我に続けーっ!!」
その号令を皮切りに、尻込みしていた織田軍から次々と火矢が放たれた。あちこちの木戸や板葺き屋根から、火の手が上がる。
「行けっ!!あぶり出された生臭坊主たちを撫で斬りにしろ!」
「はっ!!」
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