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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第3章 【政宗編】※R18


「さ、はやく。軍議が始まります」
竜昌が小走りで駆けだす。政宗も仕方なく後を追った。

─── ◇ ─── ◇ ───

天主に到着すると、他の武将たちはすでに広間に揃っていた。そこへ汗ばんだ政宗と竜昌が、木刀を片手に駆け込んでくる。
「遅くなりました」
「剣術の稽古か、相変わらず仲が良いなお前ら。…さて、皆揃ったことだし始めましょう。信長様」
秀吉からの報告で軍議が始まった
最近、北の山中に賊が出没するという。賊といってもどこかの侍くずれらしく、一丁前に刀や鎧、火縄まで持っているらしい。
通行人を襲っては金品を奪っていくので、旅人や商人が恐れをなして、その街道を通らなくなってしまった。
北方からの交易が途絶えれば、民や国にとって損害である。
早急に兵をだし、賊を鎮圧することに決まった。
信長は、居並ぶ武将の顔をぐるりと見渡し、末席にいた竜昌に目をとめた。
「竜昌、此度はお前に任せよう」
「かしこまりました」
政宗は先ほどの痣を思い出し、何か言いかけたが、竜昌がそれを視線で制した。
「五百の兵をつけてやる。すぐに出れるか」
「一両日中には」
「頼もしいな」
信長は満足そうに目を細めた。
そのとき、不意に政宗が声を上げた。
「信長様、俺もいきます」
「政宗が?」
「北の街道には土地勘があります。それに竜昌は織田軍としては初陣です。つまり…」
「御目付け役というわけか」
信長は、政宗から竜昌に視線を移し、ニヤリと笑った。
竜昌はやや不満そうにチラリと政宗を見ている。
「よかろう。すぐに片を付けてこい」
「はっ」
軍議がお開きになると、竜昌はさっそく出立の準備のため広間を退出していった。
あとに残された政宗は、隣に座る家康に、おずおずと声をかけた。
「あのな、家康」
「はい?」
「なんかこう…打ち身に効く膏薬とか、もってないか?」
「はあ?いつもは唾つけときゃ治るとか言ってる政宗さんにしては珍しいこともあるもんですね」
「いや俺じゃねえよ。アイツだアイツ」
政宗は、竜昌が去っていった方向へちらりと視線を向けた。
「…なるほど」
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