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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第13章 【秀吉編】 おまけ


「りん?」
甘い声で秀吉が呼ぶ。
「…は、はい」
緊張した声で竜昌が返事をすると、秀吉は両手を竜昌の肩において引き寄せ、唇に軽く口付けをした。まるでご褒美だとでもいうように。
「りん…」
「はい」
竜昌が返事をすると、再び口付ける。
「りん…、りん…」
「はい…あっ…ンッ」
秀吉は、何度も何度も竜昌の名を呼び、竜昌が応える度にその唇に口付けた。だんだんと口付けは深くなってゆき、二人の唇の間にトロリと銀糸が伝った。
やっと満足したのか、名前を呼び終えた秀吉は、こつんとお互いの額を合わせ、目を閉じた。
「りん…ずっと側にいてくれ…」
額から、秀吉がギュッと眉根を寄せる感覚が伝わってきた。
「秀吉様…?」
竜昌は、額を合わせたまま、手を伸ばして秀吉のやわらかな褐色の髪を撫でた。
「夢を見たんだ…斬られた時…」
秀吉は、いつになく低く沈んだ声で、ぽつぽつと語り始めた。
「お前が遠くにいってしまう夢だった。俺は引き留めようと必死に名前を呼んだけど、なぜか口から出るのは「舞」って名前だけで…。それでお前は…振り向きもせずに遠くにいってしまって…」
秀吉の語尾が微かに震えていた。
「あの時、お前が舞に化けていたせいかもしれないな…でも本当に怖かった…」
竜昌は、あの時熱に浮かされていた秀吉が、舞の名前を繰り返し呼んでいた意味をやっと知った。
温泉で上気している竜昌の頬の上を、さらに熱い涙の雫が伝った。そして心の中にわだかまっていた最後の氷の粒が、溶けていくのを感じた。
「りん…側にいてくれ…」
竜昌は、いつもとは逆に、秀吉の頭をやさしく撫でながら、意思のこもった声ではっきりと言った。
「はい、秀吉様。この命尽きる時まで、必ず」
二人は強く抱きしめあった。もう二度と離れないというように。


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