第12章 【秀吉・後編】※R18

「まあ今日は寝てろ。信長様には俺から言っておいてやる」
布団の端をひっぱりこんで、さらにギュっと丸まってしまった竜昌を置いて、政宗は部屋を出た。
「竜昌は心配ない、着替えと、あと風呂を沸かしてやってくれ」
「は、ハイ！！！」
政宗にそう言われ、腰を抜かしていた女中は、這うようにして着替えを用意しにいった。
『しかし、秀吉のやつは何処へいきやがった？』
不貞腐れたような表情で、渡り廊下を天主へと戻る政宗。
一面真っ白になった安土城の中庭に、赤い椿の花が美しく咲き誇っていた。


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ようやく家康の了承をとりつけ、慌てて安土城へと戻ってきた秀吉は、竜昌の部屋に向かう途中、またしても例の人物に出くわした。
「よう秀吉。ずいぶんと早いじゃないか」
「…我らが御典医様の許可が下りた」
「ほう、それはめでたい」
相変わらずのニヤニヤ笑いを浮かべる光秀を、秀吉は睨みつけた。
「ここで何をしている？」
「俺が安土城の廊下を歩いていて何かおかしいか？」
いつかどこかで聞いたようなセリフを吐きながら、光秀は手に持っていた文書の束を、バサリと秀吉に押し付けた。
「ほら、先の戦の勘定書きだ。いくつか間違えがあったから、朱で直しておいてやったぞ」
「そりゃど～も」
秀吉は嫌そうな顔をしながらも、それを受け取った。本来なら秀吉のやるべき仕事だ。
「ん、礼のかわりに頭を撫でさせてやってもいいぞ？」
「はあ！？！？！？」