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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


「まーた傷口が開いてる」
朝早くから秀吉の館を訪れた家康は、てきぱきと秀吉の背に傷薬を塗り、血で汚れた包帯を取り換えながら、溜息をついた。
秀吉は、今まさに起床しました、というような風を装いながら、苦笑いした。
「そ、そうか?でも全く痛みは無いぞ。きっと寝返りを打ったときにでも開いたんだろ」
「ふ~ん?」
家康は丁寧な手つきで包帯を巻きながらも、その仏頂面を崩さなかった。
「なぁ家康、もう痛みもないし、出血もたいしたことないから、仕事に戻っていいだろ?」
「…」
懇願する秀吉を半目で睨みながら、家康がぼそりとつぶやいた。
「なんだか秀吉さんの顔、ツヤツヤしてる」
「え!?」
「なんかいい事あったんですか?」
秀吉は両手で頬を押さえ、まるで恥じらう乙女のように顔を真っ赤に染めた。


─── ◇ ─── ◇ ───


「う、ぎ、ぎゃあああああぁぁぁぁぁ」

早朝の安土城に、絹を裂くような悲鳴がとどろいた。
城内にいた政宗が、声のしたほうに駆けつけると、そこには竜昌の部屋の前の廊下で、腰を抜かしてうずくまっている女中がいた。
「どうした!」
「あ、ふ、藤生、様が…!」
女中は廊下に尻もちをついたまま、震える指で竜昌の部屋のほうを指さすことしかできなかった。



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