第12章 【秀吉・後編】※R18
「でも、お前は違う」
秀吉はいったんそこで言葉を切ると、大きく息を吸ってから、低い声で囁いた。
「竜昌、お前が好きだ。俺だけのものにしたい」
熱を含みながらもまっすぐに竜昌を射貫く視線は、その言葉に嘘偽りのないことを示していた。
二人は無言のまま見つめ合った。
ほんの刹那のことだったが、竜昌の頭の中をいろいろな想いが過ぎった。
金平糖の甘さと あの時の慈しむような笑顔。
敵に襲われたときに抱き締められた固い胸。
熱にうかされて舞の名を苦し気に呼んだ秀吉の声。
『もう少し信用してやれ』という光秀の言葉。
やがて、竜昌は覚悟を決めたように、両手で挟んでいた秀吉の顔を引き寄せると、初めて自ら口づけをした。
唇の先端が触れるだけの、微かな口づけだっが、紙一重で辛うじて保っていた秀吉の理性を決壊させるには、それで十分だった。
【作者注】
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