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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


まるで甘味を味わうかのように、丹念に口内をまさぐる秀吉の舌に意識を奪われそうになりながらも、竜昌は最後の理性を奮い立たせて秀吉に言った。
「わ、わたしが?…ですか?」
「他に誰がいる?」
容赦なく唇をついばみ続ける秀吉の目が熱く潤む。竜昌も目を背けることができず、それを受け止めるしかなかった。
「っでも、秀吉様わたしっ、ンッ…ッっ…飯炊きも針仕事も何もっ…あっ…できな…く」
「だからどうした?…(チュッ)…それ以上に、できることがたくさんあるだろう。剣の腕もッ…(チュッ)算術も…」
濡れた音をたてて秀吉の唇が離れるたびに、竜昌の身体の芯が甘く疼き、下腹部に熱がどんどんと溜まっていった。
「化粧のひとつも…自分では…クッ」
「化粧なんかしなくたって(チュッ)こんなに…愛らしい」
「…あっ」
「俺は『女らしい』竜昌に惚れたんじゃない(チュッ)そのままのお前でいいんだ…」
「アふっ…ッん…で、でも、家柄が…」
「そうか」
秀吉はふと唇を離し、眉根を寄せた。
「そうだよな…俺みたいな農民出身の田舎侍と、お前みたいに先祖代々城主をしてきた武家とは、格が違うよな」
「ち、違います!」
竜昌は必死に引き留めるように、秀吉の両頬を手で挟み、顔を近づけた。
「秀吉様は天下の大大名、わたくしは信長様の配下とはいえ今や一介の侍でございます。釣り合うはずもございません。それに…秀吉様は(舞様が)……」
最後まで言葉にはならなかったが、その唇の動きを読んだ秀吉の眼差しが、一瞬 揺らいだ。
「お前には誤魔化したくないから正直に言う。確かに以前は舞のことが気になっていた」
「…」
秀吉の目を見つめながら、無言で頷く竜昌。その喉がごくりと動き、固唾を飲んだのがわかった。
「でもそれは、ただ可愛がるための妹としての気持ちだってことに気づいた。そして自分が頼られる兄貴という立場に酔いたいだけだったのかもしれない」
「秀吉様…」

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